T.S.シュタイナー『日本見聞録』

名前は「TSしたいなあ」が語源です。ルドルフ・シュタイナーとT.S.エリオットは無関係です。

まずは踊れ、話はそれからだ

 『RRR』観てきた。面白かったので感想をだらだら書こうと思う。

 三時間もあるので観る前は久しぶりの大作に若干げんなりもしていたのだが、全然飽きなかった。戦闘シーンは見ごたえがあったし、途中飽きるかなとか思っていたドラマパートも突っ込みどころが多くて普通に楽しめた。全体通して、二分の一が戦闘シーン、六分の一がドラマ、残りの三分の一が歌と踊りみたいな感じだった。インドナショナリズムというか、アンチブリ帝の革命思想みたいなのがカタルシスでごってごてに強調されててびっくりしたけど、面白かったから映画としては正義。

 

 

 

 

以降、ネタバレを含みます

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 インド最強!!!インド最強!!!インド最強!!!インド最強!!!インド最強!!!インド最強!!!インド最強!!!インド最強!!!インド最強!!!

 

 

 序盤からマスキュリニティーの塊みたいな描写が続いて、結構アツい。主人公たちが無双する度に、そこだ!やれ!うぉぉぉぉ!ってなってた。インド人を虐げてきたイギリス人を主人公がインド的な力で滅多打ちにしていくカタルシス満載のシーンばっかりだけどそれがいい。銃とか使わなくても、こいつら二人だけでどうにかなるじゃんと思うくらい強い。サメ映画のサメ側が主人公みたいな、いや、サメ映画の主人公はサメだから普通にサメ映画と一緒か。

 

 個人的に一番好きなのは、これからどうなるんだというところでぶっつり切って、話と話の間を雑に

 

INTERRRVAL

 

 

という文字列だけで五秒使って繋いでいるところで,観たときは吹いた。こいつら戦いと歌と踊り以外まじでどうでもいいんだな。インド映画は有名どころしか観ていなかったのだが、こんなのが他にもあるなら観てみたい。

 

 話の内容自体は大してないので説明は省くが、BSでよくやっている量産型の西部劇に大量に資金をぶち込んだみたいな作品、銃撃戦の代わりにインド式CQCをやっているものだと想像してもらえれば。

 

 今作のヒロインはイギリス人の貴族の女性だったのだが、ヒロインは主人公(マッチョ)が好き、主人公(マッチョ)はこの女性から情報を聞き出したりして、さらわれた部族の子供を救出したいみたいなのが、言語が伝わらないことによって高度にアンジャッシュしていくのも面白かった。主人公も主人公でここら辺の情緒は謎なのだが、ヒロインにしても、自分の親戚を爆殺した主人公と笑顔でハグできる神経は分からない。人の心とかないのだろうか。「インド人を家畜のように扱うイギリス人は獣だ」からこいつら殺しても胸痛まないみたいな論理展開、さすがに考えが浅すぎる気もするけどこれのおかげで気兼ねなく戦闘シーンに入れるからいいよもう。

 なんらかのアニバーサリーで大規模なパーティをしているイギリス人街に猛獣を満載したトラックで乗り込み、獣を放って、兵士や貴族らしき人間を男女問わず殺し、庭に火を放っているのに、「俺たちが何をした」、「何もしていないだろ」とか被害者面できるのは色々とすごい。もうここら辺はお笑いだった。後ろで建物が燃えて、人が死にまくっているのに「俺たちが何をした」と悲壮感たっぷりに言うものだから、仰天する。ランボー2かな。

 あと、インド人って回復早いね。一晩で人を死に至らしめる蛇の毒をそこら辺に生えている葉っぱ煎じて飲ませただけで毒を完治させるし、足の骨が折れていても、少し寝れば派手な戦闘を行えるまでになるのはカートゥーン感あって好きだった。

 

 それと作劇上の面白要素もてんこ盛りなので、いわゆる映画好きもすごい楽しめると思う。チェーホフの銃とかもやってたね、弓を持っている神像がさりげなく(ばりばりに目立っていたけれど)登場し、ラストでこの弓を主人公の一人が使用するという展開。この際、衣装も戦神っぽくフォルムチェンジするのだが、ここからこいつが帰郷するまでずっとこの格好で居る。気に入ったの?と聞きたくなるような執着ぶりを見せるのだ。イギリス人とインド人の対比はめちゃくちゃ多かった。わかりやすく、鞭とか大きな壁と有刺鉄線とかもあって雑だけどポイントは押さえてくるので感心する。

 

 歌って踊って大団円

 

 インドはそれでいいのだ。